3月16日、令和7年燕市二十歳の集いを開催しました。


今年も式辞の全文を掲載いたしますので
ご一読いただければ幸いです。
祝辞
本日ここに、二十歳という人生の節目を迎えられた皆さん、
おめでとうございます。皆さんの門出を心からお祝い申し上げます。
また、公私ともにご多用の中、ご臨席を賜りました
ご来賓の方々に厚く御礼を申し上げますとともに、
今日まで深い愛情を持って若者たちの成長を支えてこられた
ご家族の皆様にも、敬意とお慶びを申し上げます。

さて、皆さん。
私は今日皆さんに二つのことを伝えたいと思っています。
一つ目は、二十歳になったことを契機に、
大人としての自覚と責任を持って、
自分たちの目の前に起こっていること、
世の中で起ころうとしていることに向き合いながら、
自分が何をすべきか考え、行動していってほしいということです。

私が市長として最初に開催した成人式は、平成二十三年三月二十日。
そう、あの東日本大震災発生からまだ九日しかたっていない日のことでした。
史上最大規模の地震と津波により、たくさんの尊い命や財産が奪われました。
被災地ではまだ多くの方々が行方不明であり、
不安で不自由な生活を余儀なくされていました。
燕市でも福島県などから二百名を超える人々が避難所生活をしていました。
連日、報道を通じて映し出される被災地の悲惨な状況を目の当たりにし、
私は、数日後に迫った成人式を開催すべきかどうか、たいへん悩みました。
全国的に晴れやかな行事を自粛しようというムードが広まっていて、
実際、成人式を中止にする自治体もありました。
しかし、新成人にとって一生に一度の晴れ舞台。
それを「自粛」という理由で中止していいのだろうか。
悩み続け、そしてふとある思いが浮かびました。

成人になるということは、地域社会の一員として、
これからの未来を担っていく義務と責任が生じること。
だとすれば、日本が未曽有の難局に遭遇している時だからこそ、
燕市では新成人たちがふるさとに集合し、
成人式の意義を一人ひとりが考え、自分たちは何をすべきかを話し合い、
行動に移してもらう機会とすべきなのではないか。
そんな思いを持って、私は実行委員の皆さんと開催の是非を話し合いました。
すると実行委員のメンバーたちから、
「自分たちに今、何ができるのかを考えるスタートの日にしたい」
「地域の発展や日本の復興のために自覚を持って行動していくことを誓い合いたい」
「だから市長、成人式をやりましょう」と言ってくれたのです。
そして、式のプログラムを被災者へのお見舞いと
応援のエールを送る内容に一部変更した上で、成人式を開催したのです。
とても感動的な内容でした。私にとっては忘れられない思い出のひとつです。
皆さんもこの先輩たちのように、これからは地域社会の一員として、
小さなことでもいいから、自分でできることを考え、行動していってほしいと願っています。

皆さんに伝えたいことの二つ目。
それは、生まれ育ったふるさと燕に誇りと愛着を持ちながら、
しっかりとした自分自身の夢や目標を持っていろんな事にチャレンジしてほしい。
そして困難に直面した時もけっして諦めず、
むしろピンチをチャンスに活かす発想で乗り越えていってほしい、ということです。
おそらく皆さんは「つばめっ子かるた」であそび、
「つばめジュニア検定」に挑戦したはずです。
中には、ジャックアンドベティ教室や長善館学習塾、
子ども広報、キャプテンミーティングに参加した人もいるでしょう。
燕市が行っているこれらの事業にはある想いが込められています。
それは、ふるさと燕に誇りと愛着をもってもらうこと、
学校の授業だけでは学べない様々な体験を通じて、
大人になって社会に出た時、困難に遭遇しても自分で考え、
自分でそれを乗り越えていく力を育んでもらいたいということです。

そしてこのたび、皆さんが二十歳になるタイミングで、
新しいメッセージを伝える動画を作成しました。
タイトルは、「私の卒業-たからもの−」。燕市を舞台にした青春ドラマです。
簡単にあらすじを説明すると、高校を卒業した主人公は、
大学受験に失敗し、この先どう生きていこうか悩んでいる時に、
一人の青年に声をかけられます。
青年から燕市を案内され、燕市の職人の諦めない精神と、技術、
その魅力を知っていくうちに人生におけるたからものに気づき、
ゆっくりと前に進んでいくというストーリーです。
主人公を演じた女優田口音羽さんは皆さんと同じ二十歳です。

特に印象的なシーンがあります。
やりたいことが見つからず落ち込む主人公に対して青年がこうアドバイスします。
「やりたいことはまず動いてみることから見つかる。
面倒くさい、無理だと思わないで、何か見つかるんじゃないかと動いてみる。
動いてみると次のやってみようが見つかって、
それを繰り返すとやりたいって気持ちにたどり着くんだ」

この動画は、Youtubeで視聴できます。
燕市のおすすめスポットもいっぱい出てきますので、
後でお手元のチラシから二次元コードを読み込んで、ご覧になってください。
皆さんにとって今後の進路を決めていく参考になったら嬉しいです。
そしてあらためてふるさと燕に誇りと愛着を寄せる
きかっけになればいいなと思っています。
実は、この動画制作を担当した市役所の職員は、
先ほど紹介した十四年前の成人式をやろうと決断した実行委員の一人です。
皆さん、ぜひ彼からのメッセージを受け取ってください。

結びに、本日の「二十歳の集い」の開催にあたり、
一生懸命に準備してくれた実行委員の方々に心から感謝を申し上げるとともに、
二十歳の若者たちが築き上げていく未来が輝かしいものとなるようお祈りし、
式辞といたします。
令和七年三月十六日
燕市長 鈴木 力