2022年11月22日

令和4年燕市成人式

11月20日、8か月遅れで令和4年燕市成人式を挙行しました。
3年ぶりに分散することなく一つの会場に集まって実施できました。
それでは今年の式辞を掲載します。

式 辞

本日ここに、成人式を迎えられた皆さん、
おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。
また、公私ともにご多用の中、ご臨席を賜りました
ご来賓の方々に厚く御礼を申し上げますとともに、
今日まで新成人の成長を支えてこられたご家族の皆様にも、
敬意とお慶びを申し上げます。
本来であれば今年の成人式は三月二十日に開催する予定でした。
八か月遅れではありますが、新成人にとって一生に一度の晴れ舞台を、
三年ぶりに一つの会場に集まって、皆様と一緒にお祝いできることを、
私は大変うれしく思います。

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さて、新成人の皆さん、
今年は大河津分水が通水して百周年という記念の年に当たります。
「蒲原の田畑を守る大河津分水」と「つばめっ子かるた」にあるように、
大河津分水は百年にわたり私たちの生活を洪水から守り、
日本一の穀倉地帯や世界有数のものづくり産業の発展をもたらしてくれました。
それまで、「あばれがわ みんな泣かせた 横田切れ」に象徴されるように、
三年に一度の頻度で堤防が決壊し大きな被害をもたらしていた信濃川の洪水を
途中で日本海に流す分水路の建設は、流域住民の悲願でありましたが、
それは二百年にわたる先人たちの請願運動が実った結果、
ようやく実現したものでした。
この時、その請願運動の先頭に立っていたのが、鷲尾政直、高橋竹之介、
大竹貫一を始め燕市にあった私塾「長善館」の門下生たちでした。
彼らは、「学問とは困った人を救うために学ぶもの」
「学んだことは社会で実践することが大切」という
長善館の教えに基づき行動したのです。

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皆さんは、今日めでたく成人式を迎えたわけですが、
成人になるということは、大人としての様々な権利を得ると同時に、
地域社会の一員として、これからの時代を担っていく
義務と責任が生じることでもあります。
既に就職している人、勉学に励んでいる人など
状況は違うと思いますが、私は皆さんに、
新成人がふるさとに集合する今日という日を、
あらためて自分の人生の夢や目標を定めるとともに、
長善館の門下生たちのように、これからの社会に対し
どう行動していったらよいかを考える日にしてもらいたいと思っています。

夢や目標を持つこと。
それは山登りと同じだという人の話を聞いたことがあります。
遠くから山を見るとその高さが実感できず簡単に登れると思いがちです。
しかし実際にその山を登り始めると、
苦しく途中で諦めてしまいたい気持ちに何度もなります。
でも、山登りには頂上にたどりついたものしか味わえない景色があります。
途中で諦めたらそれを見ることはできません。

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アメリカメジャーリーグでプレーする大谷翔平選手は、
今年投手として十五勝、打者として三四本のホームランを打ち
、百四年ぶりにベーブルースの記録を超える活躍をしました。
彼は「人生が夢をつくるんじゃない、夢が人生をつくるんだ。」
「成功するとか失敗するとか僕には関係ない。それをやってみることが大事」
と言って前人未踏の二刀流に挑戦してきました。

新成人の皆さん、どうかしっかりとした夢や目標を持って、
失敗を恐れることなく、色々なことにチャレンジしていってください。
それは皆さんの人生を充実したものにしてくれます。
もちろん、行く手には様々な困難が待ち受けているでしょう。
思い通りにいかなくてくじけそうになるかもしれません。
しかし、そんな時でも、けっして努力することを諦めず、
むしろピンチをチャンスに活かす発想で乗り越えていってください。

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その一方で、是非これからは、自分のことだけでなく、
周りの人や地域社会にも目を向けてみてください。
新型コロナウイルスは人々の生活を大きく変えました。
ウクライナでは悲惨な戦争が行われ、
地球温暖化の影響で毎年どこかの地域で大規模な災害が発生しています。
少子高齢化や人口減少が地方都市の活力を奪い、
SNSで簡単に人を傷つけてしまう世の中になっています。
こうした目の前に起こっていること、
世の中で起ころうとしていることを、
「他人事」ではなく、「自分事」としてとらえ、
小さなことでもいいから、自分でできることを考え、行動してほしいと願っています。

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みなさんは、「夜に駆ける」のヒット曲で有名な音楽ユニットYOASOBIと
子供たちのグループ「ミドリーズ」が歌っている「ツバメ」という曲を知っていますか。
「煌く水面の上を 夢中で風切り翔る 翼をはためかせて あの街へ行こう 海を越えて」で始まるこの曲は、
国連が提唱する持続可能な開発目標SDGsをテーマとした
NHKの子ども向け番組のテーマソングです。
前向きな気持ちにしてくれるとても素敵な曲ですが、私は特に後半の歌詞が大好きです。

誰かが手に入れた豊かさの裏で 帰る場所を奪われた仲間
本当は彼も寄り添い合って 生きていたいだけなのに
悲しい気持ちに飲み込まれて 心が黒く染まりかけても
許すことで認めることで 僕らは繋がり合える
僕らに今できること それだけで全てが変わらなくたって
誰かの一日にほら 少しだけ鮮やかな彩りを
輝く宝石だとか 金箔ではないけれど
こんな風に世界中が ささやかな愛で溢れたなら
何かがほら変わるはずさ 同じ空の下いつかきっと
それが小さな僕の大きな夢

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私は、燕市で生まれ育った皆さんが、この「ツバメ」という曲のように、
求めるものも、描いている未来もそれぞれ違うけれど、
周りの人と手と手を取り合いながら、
大河津分水建設のような大きなことでなくてもいいから、
一歩一歩自分でできることをやり、
ささやかな愛であふれる世界をつくっていってくれたらとても嬉しいです。
良寛様、長善館と続く、人を思いやる心のDNAを持った燕の若者なら、
きっとそのように行動していってくれると信じています。

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私は、皆さんが燕市に生まれ育ったことを誇りに思えるような
『日本一輝いているまち』を目指して市政運営に取り組んでいますが、
先人たちの二百年にわたる努力で完成した大河津分水がもたらした燕市の繁栄を
次の百年に向けてさらに光輝くものとしていくためには、
皆さんのような若者の力が必要です。
そのため、燕を離れ県外で生活する若者のネットワーク「つばめいと」、
市内で若者が主体的に活動する「つばめ若者会議」や「燕ジョイ活動部」などを立ち上げ、
若い人の力をまちづくりに生かす取組を進めています。
皆さんからも、是非それらに参加してもらえるとうれしいです。

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私は、皆さんがそれぞれ自分の夢や希望に向かって歩んでいくとともに、
これからの燕市、新潟県、日本の新しい時代を切り拓く推進役として、
様々な分野で活躍してくれることを大いに期待しています。
結びに、本日の成人式にあたり、
一生懸命に準備してくれた実行委員の皆さんに心から感謝を申し上げるとともに、
新成人の皆さんが築き上げていく未来が素晴らしいものとなるようお祈りし、
式辞といたします。

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令和四年十一月二十日
燕市長 鈴木 力
posted by 鈴木力 at 07:00| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする